- 相続
- 2025.12.11
財産分与の割合は原則2分の1?変更が認められるケースについて解説
目次
財産分与の基本ルール
割合は「原則2分の1」
財産分与は、婚姻中に夫婦の協力で築いた財産を清算・分配する手続きです。
名義や収入の多寡に関わらず、基本は等しい貢献(2分の1ずつ)と考えます。ここでいう「貢献」には、外での収入だけでなく、家事・育児・転勤への同伴などの無償労働も含まれます。
なお、2分の1は“必ず”ではありません。事情によっては6:4や7:3などに修正されることもあります(例:極端な浪費、特有財産の強い関与、特殊な才能で片方の寄与が大きい等)。
当事者の合意で割合を変えられる?
話し合いで割合や受け取り方(現金での精算/不動産の名義変更/代償金の支払い等)を自由に決められます。ポイントは次のとおりです。
- 合意内容は書面化(離婚協議書や公正証書)しておくと、後のトラブル予防になります。
- 比率だけでなく、評価時点・評価方法(例:不動産は査定額からローン残高を控除)・支払期限まで決めると後の手続きがスムーズです。
- 当事者間の合意が難しい場合は家庭裁判所に調停・審判を申立てることができます。
対象になる財産/ならない財産の切り分け

原則として、婚姻期間中に形成した財産が対象です。代表例は以下のとおりです。
対象になりやすいもの(例)
- 預貯金・現金・証券(株式、投資信託、社内持株会、仮想通貨 など)
- 土地・建物などの不動産
- 生命保険の解約返戻金、学資保険の積立部分
- 退職金(対象外となる場合もある)
- 自動車・高額家電・家具など、夫婦の生活で取得・維持したもの
対象外になりやすいもの(例)
- 特有財産(婚前から保有していた貯金・不動産、相続・贈与で取得した財産)
- 交通事故などの慰謝料
財産分与の割合の変更が問題となるケース
夫婦の一方が専業主婦・専業主夫である場合
専業主婦・専業主夫であること場合であっても、原則として、割合は2分の1となります。なぜならば、働いている夫婦の一方が収入を得られるのは、他方の家事・育児に支えられているのであり、かつ、夫婦の一方の名で取得された収入も、夫婦の生計の質とすべきものであるからです。
しかし、働いている夫婦の一方の収入が非常に多く、その理由が働いている一方の特別な資格や能力による場合には、割合が修正される場合があります。
ポイント
- 家事・育児・介護の負担などは立派な寄与
- 「収入がない=取り分が少ない」ではない
- 働いている夫婦の一方の収入が非常に多く、その理由が働いている一方の特別な資格や能力による場合には、修正される可能性がある
用意すると良い資料例
家計簿・通帳、保育園連絡帳や学校連絡、家事分担メモ、転勤辞令と引越し記録、相続・贈与の取得時期が分かる書類、別居開始時期を示す資料など。
夫婦の一方が会社経営者、医師、スポーツ選手など特別な資格な能力がある場合
前述のとおり、婚姻期間中に形成された財産が非常に多く、夫婦の一方に特別の資格や能力があり、これによって高収入が得られており、その財産形成がこれによるといえる場合には、その財産は義務者の固有の能力に基づいて形成された部分が大きいとして、寄与割合を変更する場合があります。
ポイント
- 高収入=修正ではない
- 長時間労働や出張が多いほど、相手方の家庭内負担は重く評価されやすい
用意すると良い資料例
収入資料、家事・育児分担を示す客観資料(保育送迎記録・スケジュール表等)など。
離婚時の財産分与について弁護士に相談するメリット

離婚に関する話し合いは「感情」と「お金」が絡むため、対立してしまう場合があります。弁護士に相談することで、何について、どこまで決めればいいかを整理することができ、結果として財産分与として請求する額の増加や将来のトラブル回避につながります。弁護士に相談する主なメリットは次のとおりです。
「割合が動く余地」を具体的に見極められる
原則は2分の1ですが、事情によって6:4や7:3に修正されることもあります。
弁護士は、特殊な才能・経営関与・特有財産の混入・浪費・長期別居・家事分担の実態など、修正要因を総合評価し、どの主張に力を入れるべきかを示します。
漏れのない財産の洗い出しができる
預貯金・証券・保険・退職金・不動産・仮想通貨・同族会社の持株まで、財産分与の対象、対象外の線引きを明確化することができます。また、必要に応じて資料の集め方や開示請求の手順についても助言を得ることができます。
評価方法と「分け方」の設計ができる
不動産や株式はいつの時点で、どう評価するかで金額が変わります。代償金(持分を買い取る)、売却分配、一定期間の居住を認める等、複数の選択肢から現実的な落とし所を設計します。
交渉・調停・審判での主張立証を任せられる
弁護士がご依頼者様の言い分を法的な主張へと構成し、必要証拠を揃えて提出することで、相手方、調停員、裁判官に対し、適切な主張・立証を行うことができます。
合意書・公正証書で「後でもめない」形にできる
金額・支払期限・評価方法・引渡し方法などについて文書化することで、事後的に紛争が起きるリスクを軽減することができます。必要に応じて強制執行認諾付きの公正証書を作成することで、滞納や合意事項への違反に備えることができます。
まとめ
財産分与の割合は「原則2分の1」ですが、事情によっては変更される場合があります。変更には適切な主張・立証が必要となりますので、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
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