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法律コラム

相続した家屋などの名義変更(所有権移転登記手続)|注意点について解説

親や親族が亡くなった後、相続財産として家屋や土地を受け継ぐケースは多くあります。
しかし、家屋などを相続した場合には、名義変更(正式には、「所有権移転登記手続」といいます。本コラムでは分かりやすくお伝えするために、「名義変更」と呼びます。)等の法律で定められた手続きを行う必要があります。
本コラムでは、家屋などを相続した際に必要な名義変更と注意点について解説します。

1. 家の所有者が亡くなった際の流れ

家屋などを相続する場合、感情的な混乱の中で冷静な対応が求められます。スムーズに名義変更を行うために、次のステップを確認しましょう。

1-1. 登記事項証明書を確認

まず、亡くなった方が本当に家の所有者だったのかを確認する必要があります。法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得することで所有者の名前や権利関係が明らかになります。これは名義変更手続きの土台となる情報です。

 

1-2. 遺言書があるか確認

次に、遺言書の有無を確認しましょう。
自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認が必要です。遺言書が公正証書で作成されていれば、検認は不要となります。遺言がある場合には、そのいずれにせよ内容に従った相続をすることが原則となります。遺言書の内容は名義変更の方法や必要書類にも関わってくる重要な要素です。

 

1-3. 遺産分割協議をする

遺言書が無い場合には、相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。誰が相続財産をどのように取得するのかを明確にし、「遺産分割協議書」に相続人全員が署名押印します。これは名義変更に必須の書類の一つです。

 

2. 名義変更とは

名義変更とは、登記簿上の不動産の所有者を、亡くなった方から相続人へ変更する手続きです。

2-1. 名義変更の必要性

名義変更が必要な理由は、主に以下の3点です。

①処罰を受ける可能性がある

2024年4月からは、相続登記が義務化され、相続があったことを知った日から3年以内に手続きを行わなければなりません(不動産登記法第76条の2)。違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

②不動産が差し押さえられる可能性がある

相続人の一人に債務者がいる場合、金融機関など債権者は債務者である相続人の持ち分を差し押さえることができます。これを「債権者による代位登記」といいます。相続人に債務者がいる場合も、早めに名義変更を行い、不動産の名義を変えておく必要があります。

③不動産を売ることができない

通常、相続した不動産を売却する場合、相続人への名義変更が完了している必要があります。いざ不動産を売却しようとした際に、不動産の名義変更が未了の場合、売却の機会損失のほか、土地の資産評価額が時間の経過とともに下落するリスクがあります。

 

相続した不動産の名義変更についてどの専門家に相談するべきか。
不動産の名義変更については、司法書士にご相談するのが一般的です。

もっとも、相続人間で「誰が家を取得するか」が原因で対立することは珍しくありません。相続人間で相続財産の分け方などについて紛争が生じている場合には、遺産分割協議または遺産分割調停や審判が必要となります。これらに関するご相談は、弁護士に相談するのが一般的です。

以上のように、状況によって、相談すべき専門家が変わります。弊所は、弁護士法人と司法書士法人とが併設されておりますので、ご相談をいただければ最適な専門家によるアドバイスが可能となります。

 

3. 弁護士からのアドバイス

不動産の名義変更をしないまま長期間が経過すると、次の世代でさらに相続が発生し、相続人が増えて相続人の確定や遺産分割協議等の手続きを行うこと自体が困難になります。結果として、不動産を「売却する」「賃貸する」「担保に入れる」といった行為ができなくなり、いわゆる“共有者不明の不動産”となってしまうケースがよく見られます。

名義変更は「いずれやればよい」と先延ばしにしがちですが、今後は法律上も期限が明確になったことで、早期の対応が一層重要となっています。

 

4. まとめ

相続によって土地や建物を取得した場合、名義変更を正しく行うことが、将来のトラブルを避けるうえで非常に重要です。相続登記の義務化により、今後はより一層、迅速かつ確実な対応が求められます。

少しでも不安がある場合は、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。専門家の助けを借りることで、ご自身で行うよりも大切な財産を安心して引き継ぐことができます。

この記事の監修者

弁護士 松本和也

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