- 企業法務
- 2026.02.05
解雇予告とは?企業側が知っておくべ法的注意点について

解雇は企業にとって大きなリスクを伴う手続きです。とくに解雇予告のルールを誤ると、労働基準法違反や紛争に発展する可能性があります。
そのため、口頭ではなく「解雇予告通知書」を用いて解雇の意思と解雇予定日を明確にし、適法に手続きを進めた証拠を残すことが重要です。
本記事では、解雇予告の基本、注意点を分かりやすく解説します。
目次
解雇予告義務・解雇予告手当支払義務について
労働基準法では、原則として会社が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前までに解雇の予告を行う義務(解雇予告義務)が定められています。解雇予告義務の趣旨は、解雇される労働者が次の仕事を探す準備期間を確保できるようにすることにあります(例外や適用除外がございます)。
また、30日前に解雇予告をしない場合には、会社は不足する日数分の平均賃金を「解雇予告手当」として支払う必要があります(解雇予告手当支払義務)。
たとえば、解雇日の10日前に予告する場合、30日に不足する20日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。解雇日当日に解雇する場合は、原則として30日分以上の平均賃金が必要です。
なお、解雇予告や解雇予告手当のルールを守らなかった場合、以下のリスクが生じます。
- 労働基準法違反として是正指導の対象になる
- 解雇手続きの不備を理由に紛争へ発展する
そのため、企業としては「解雇予告を行った事実」と「その内容」を明確に残すためにも、解雇予告通知書を作成し、適切なタイミングで交付することが望ましいといえます。
解雇予告通知書とは

解雇予告通知書とは、会社が労働者を解雇する際に、その意思と解雇予定日を事前に通知するための書面です。
法律上、「必ずこの名称の書面を作成しなければならない」と明確に定められているわけではありませんが、解雇予告を行った事実を客観的に証明する手段として、実務上は書面で交付することが一般的です。
解雇は、労働者の生活に大きな影響を及ぼす重大な行為であるため、企業には慎重で適切な手続きが求められます。そのため、口頭のみで解雇を伝えた場合、「いつ・どのような内容で解雇を通知したのか」が争点となり、後からトラブルに発展するケースも少なくありません。
したがって、解雇予告通知書を作成・交付することは、
・解雇予告を適法に行った証拠を残す
・労働者との認識の食い違いを防ぐ
・不当解雇・手続違反と主張されるリスクを下げる
といった点で、企業側のリスク管理として重要な役割を果たします。
解雇予告通知書と解雇通知書、解雇理由証明書との違い
解雇に関する書面には、「解雇予告通知書」と「解雇通知書」、「解雇理由証明書」という似た名称のものがありますが、これらの違いを正しく理解していないと、解雇手続きに不備が生じ、後からトラブルに発展するおそれがあります。
解雇予告通知書について
解雇予告通知書は、将来の解雇について、あらかじめ労働者に通知するための書面です。主に、労働基準法で定められている「30日前の解雇予告」を行う際に用いられます。
この書面の目的は、
- 会社が解雇の意思を事前に伝えたこと
- 解雇予定日がいつであるか
を明確にし、解雇予告義務を果たした証拠を残すことにあります。
解雇通知書について
解雇通知書は、解雇が確定した事実を労働者に伝えるための書面です。
この書面は、
- 解雇の意思表示を明確にする
- 解雇日を確定させる
- 解雇理由を明示する
を正式に通知する役割を持ちます。
なお、解雇通知書に解雇予告を記載することで、解雇予告手当通知書を兼ねることも可能です。
解雇理由証明書について
使用者は、労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合には、遅滞なく解雇理由証明書を交付しなければなりません。証明書に記載すべき解雇の理由は、具体的に示す必要があり、就業規則の該当条項の内容及び該当条項に該当するに至った事実関係を記入しなければなりません。
ただし、証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならないことに注意が必要です。
解雇予告に関する相談を弁護士にするべきか
解雇には客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性が必要です。したがって、解雇予告はもちろん、それ以外の点にも注意を払う必要があります。解雇を検討する際に弁護士に相談することで、解雇予告のみならず、以下の点を確認することができます。冒頭で申し上げたとおり、解雇は手続きを誤ると紛争等に発展する可能性がありますので、弁護士に相談するなど慎重に手続きを進めることをお勧めします。
- 解雇予告通知書の記載内容に誤りがないか。
- その他の解雇手続きに不備がないか。
- 競業避止義務など解雇にあたって労働者と定めておくべき事項はないか。
- 解雇後の再発防止策の検討(就業規則等の見直し、社内周知・研修など)
まとめ|解雇予告通知書は企業リスクを下げる重要書類
解雇予告通知書は、単なる形式的な書類ではなく、企業が解雇手続きを適切に行ったことを示す重要な証拠となるものです。解雇手続きが労働者との紛争に発展しやすい場面であるからこそ、事前の予告や書面での対応が、企業側のリスクを大きく左右します。
30日前の解雇予告や解雇予告手当といったルールを正しく理解し、解雇予告通知書を用いて解雇の意思や解雇日を明確に伝えることで、
- 解雇の有効性を巡るトラブル
- 手続きの不備を指摘されるリスク
- 労働基準法違反と判断される可能性
を抑えることができます。
一方で、解雇予告通知書の記載内容や交付方法を誤ると、意図せず企業に不利な証拠を残してしまうこともあります。そのため、解雇を検討する段階から、法的な観点を踏まえて慎重に対応することが重要です。
解雇に関する判断や書面作成に少しでも不安がある場合は、早めに弁護士などの専門家へ相談することで、将来的なトラブルを未然に防ぐことにつながります。解雇予告通知書を正しく活用し、企業リスクを最小限に抑えた適切な解雇対応を行いましょう。
藤沢で解雇に関する判断や書面作成でお悩みの方は【弁護士法人KTG湘南藤沢法律事務所】までお気軽にご相談ください。