- 企業法務
- 2025.09.18
法定休日と法定外休日の違いとは?週休2日制・割増賃金の注意点

目次
法定休日とは?
労働基準法における法定休日の定義
「法定休日」とは、労働基準法第35条に基づき、使用者が労働者に対して最低限与えなければならない休日のことです。
なお、「休日」とは、労働義務がない日を指すため、「休憩時間が長いだけ」や「半日勤務の日」は、法定休日にはあたりません。
週1回または4週4日休みの原則
労働基準法では、次のどちらかの条件を満たす必要があります。
- 毎週1日以上の休日を与える
- 4週間で合計4日以上の休日を与える(変形労働時間制の場合)
たとえば、週休1日の会社なら毎週日曜日を休みにすれば条件を満たします。
シフト勤務の飲食店や病院などでは、4週間のうち4日休みをまとめて与える形でも条件を満たします。
法定外休日とは?
法定外休日(ほうていがいきゅうじつ)とは、法律で義務づけられた休日(法定休日)以外に、会社が自由に設定した休日のことをいいます。
たとえば、週休2日の会社では、以下のように定める会社が多いです。
- 日曜日を「法定休日」
- 土曜日を「法定外休日」
法定休日と法定外休日の違い
法定休日と法定外休日は、どちらも「休日」である点は同じですが、法律上の扱いと割増賃金の計算方法が大きく異なります。
ここでは、実務で押さえておくべき3つの違いを解説します。
法的な扱い
- 法定休日に出勤した場合
「休日労働」に該当
⇒36協定で「休日労働に関する協定」等の要件を満たす必要がある。
- 法定外休日に出勤した場合
「時間外労働(残業)」として扱う
つまり、上記の違いは休日の割増賃金の有無との違いがあります。
割増賃金の有無・率の違い
休日に従業員を働かせた場合、どちらの休日かによって割増賃金の率が変わります。
休日の種類 | 出勤時の扱い | 割増賃金率 |
法定休日 | 休日労働 | 35%以上 |
法定外休日 | 時間外労働(残業扱い) | 25%以上 |
- 法定休日に出勤させると、35%以上の割増賃金が必要
- 法定外休日に出勤させ、かつ時間外労働にあたる場合などには、25%以上の割増
違反時のリスク(労基署指導・罰則)
法定休日を守らない場合、労働基準法違反となり、指導または罰則がなされる可能性があります。
- 労基署からの指導・是正勧告
- 悪質な場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条)
また、割増賃金の未払いがあると、労働者から未払賃金を遡って請求される可能性もあるため注意が必要です。
休日振替と代休との違い
休日出勤が発生したときに、休日振替や代休を活用すれば、従業員にしっかり休みを与えられます。
ただし、2つの制度は法律上の扱いが異なるため、給与計算や法令順守の面で注意が必要です。
休日振替の定義と要件
休日振替とは、もともと休みだった日を出勤日にし、あらかじめ他の日を休みに変更することです。業務上の必要性がある等の合理的な必要性がある他、就業規則等で明確に規定されている必要があります。
例:
日曜(法定休日)に出勤 → 事前に水曜を休みに振替
→ 日曜勤務は通常勤務扱い(※休日出勤ではない)
代休の定義と違い
代休は、休日に出勤させた後で、別の日に休みを与える方法です。
休日振替と異なり、事後対応である点がポイントです。
- 出勤した休日は「休日労働」として扱われる
- 割増賃金(法定休日なら35%)は支払いが必要
- 後日休ませる日(代休)には賃金の割増は不要
法定休日・法定外休日との関係
休日振替や代休の扱いは、対象となる休日の種類によっても変わります。
休日の種類 | 休日振替にした場合 | 代休にした場合 |
法定休日 | 割増なし(通常勤務扱い) | 出勤日分は35%割増、代休は通常休み |
法定外休日 | 通常勤務扱い、残業は別途計算 | 所定時間を超えた分は25%割増 |
企業が注意すべきポイント
法定休日・法定外休日の違いを理解しても、就業規則や労務管理が不十分だとトラブルにつながる可能性があります。
ここでは、企業が必ず押さえておきたい2つのポイントを解説します。
就業規則での休日規定の明確化
まずは、就業規則で休日の種類と取り扱いを明確にすることが基本です。
- 法定休日は週に1日(または4週4日)必ず設定する
- 法定外休日は会社の裁量で設定可能
36協定との関連
労働者に休日労働を命じる場合には、36協定(時間外・休日労働に関する協定)の締結が必要です。
- 法定休日に労働させる場合は36協定で休日労働を明記
- 法定外休日の場合は、所定時間を超えた分が時間外労働となり、36協定が必要
- 協定は労働基準監督署への届け出が必須
まとめ
本記事では、法定休日と法定外休日の違いや、割増賃金の扱い・休日振替・代休との関係について解説しました。
- 法定休日は、労働基準法で週1日以上(または4週4日)義務付けられた休日
- 法定外休日は、会社が任意で設定する休日(例:土曜日の休みなど)
- 割増賃金は、法定休日の労働で35%以上、法定外休日は残業扱い
- 休日振替と代休は取り扱いが異なり、賃金計算や36協定の要否にも影響
企業は、以下のような点を押さえることが重要です。
- 就業規則で休日の種類を明確化
- 36協定の締結と運用を徹底
休日管理や割増賃金の計算を誤ると、未払い残業代の請求や労基署の指導につながるリスクがあります。
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